彫刻制作の主要なテーマの一つは、素材の上で出来るだけ深い次元のバランスを獲得することにある。そのことによって、彫刻には動きが生まれ、それを取り囲む空間には、ある種の規範が生まれるであろう。彫刻の使命は、この規範によって、人間の住む空間を豊かで意味のあるものにすることなのである。素晴らしい音楽を聴いたときに生ずる、天空に飛翔するがごとき心の高揚を思い出すといい。 いい音楽は、人に、無限に前へ進ませる勇気を与える。彫刻の獲得すべき規範とは、音楽の持つそれと同じものなのだ。このような意味を十分に含ませ、この彫刻を「上昇風」と名づけた。「向上心」と訳しても良い。もちろん、島高生の姿が重なっていることは言うまでもない。
野島氏の作品は島原のあちこちに点在していますが、どれも作者の思いのこもった題名が付けられ、強いメッセージ性があるモニュメントのように思います。
質実剛健・文武両道を表す黒御影石の「秋岳館の碑」と今回の御影石の「上昇風」は、「秋岳館」の石段をはさんで一対をなしています。
また同窓会館と本館をつなぐ位置に設置したこの「上昇風」が、チーム島高に大きな風を呼んでくれるんじゃないかなと期待しています。